今季初のポールポジション獲得!【佐藤万璃音】
今シーズンよりヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)に加え、新たに世界耐久選手権シリーズ(WEC)への挑戦を開始した佐藤万璃音(UNITED AUTOSPORTS USA 所属、神奈川県出身・25歳)が、10月31日~11月2日日に中東、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されたWEC第8大会「BAPCO ENERGIES 8 HOURS OF BAHRAIN)」に参加しました。95号車マクラーレン720S GT3エボを駆る佐藤万璃音は、前戦と同じくジョシュ・ケイギル選手、ニコラス・ピノ選手とともに自身にとって、WEC最終戦に臨みました。
初の母国凱旋レースとなった第7戦富士6時間耐久レースの直後、すぐさまELMS最終戦のポルトガルへと飛んだ佐藤万璃音は、レースを終えると慌ただしく帰国して次への準備を整え、約1週間の日本滞在を楽しんだ後、WEC最終戦の地、バーレーンへと再び飛び立ちました。レースウィークに入り、チームと共に着々と準備を整えながら、佐藤万璃音はチームメイトであるジョシュ・ケイギル選手と共にシミュレーター作業をし、綿密なドライビングレクチャーを続けます。WECの場合、経験の少ないブロンズドライバーが予選アタックをするルールがあります。バーレーン国際サーキットに詳しいゴールドドライバーの佐藤万璃音が、初めてバーレーン国際サーキットを走ることになるブロンズドライバーのジョシュ・ケイギル選手にコースの攻略ポイントを教えることが、総合タイムで競われるWECでの戦法です。フリー走行1回目、コースインした佐藤万璃音はマシンの感触を確認すると、すぐにアタックラップをこなして早々にピットに戻りました。バーレーン国際サーキットでの走行経験の少ないチームメイトたちに、より多くの走行時間を与えるためです。31周を消化してベストタイムは佐藤万璃音がマークした2分03秒537でした。フリー走行2回目は39周を消化してベストタイムは2分04秒471、フリー走行3回目も特に大きなトラブルは出ず2分04秒394で7番手。予選に向けて着実にセットアップを煮詰め、データを解析します。3回のフリー走行でわかったことは、予選ペースは良いのですが、タイヤのデグラデーションが激しく、レースペースではダブルスティントの後半が厳しいのではという不安が残りました。それ以外は大きなトラブルもなく、自信を持って予選に臨みました。予選アタックを担当したブロンズドライバーのジョシュ・ケイギル選手は、今回も佐藤万璃音からのドライビングアドバイスを忠実に再現し、5周目に2分02秒311のトップタイムをマークし、ハイパーポールへと進出。そしてハイパーポールでも5周目に2分02秒201のトップタイムをマークし、2位に0秒002の差をつけて見事今季初のポールポジションを獲得しました。
決勝レースでも上手いスタートを見せた95号車は、序盤はチームメイトの59号車とワン・ツー体制を築いていたのですが、やはり予想どおりタイヤの摩耗が激しく、1回目のスティントを終えた段階で次第にペースが遅れ始めました。1時間経過時点でクラス5番手、2時間を経過した時点でクラス6番手、そして3時間終了時には周回遅れの8番手となってしまいます。95号車はその後もペースが上がらず、佐藤万璃音が交代した時には周回遅れの14番手でしたが、交代した次の周にセーフティカーが出されました。このタイミングまでピット作業を遅らせれば無理なく周回遅れからリカバーできたのですが、こればかりは運としか言いようがない展開でした。しかし佐藤万璃音は、リスタート後にハイペースで前を行くマシンを次々とオーバーテイクし続け、自力でトップを抜いて実質的に同一周回とし、さらにトップのマシンをそこから8秒リードする快走を見せます。そのタイミングで再びセーフティカーが導入された為、ピットで給油をしてコースイン。ライバルたちとのタイヤ交換のタイミングが違うとはいえ、ユーズドタイヤでありながら、さらに何台か抜き、タイヤ交換を済ませた後はさらに4台ものマシンをパスするという速さを見せて、8番手までポジションをアップする形でチェッカーとなりました。